農業環境

土壌の大切さ

28 10月 2013

この数十年の間、農業で最も大切な資源が土壌である事を忘れたかのように、浪費が続けられてきた様は、大切な預金を切り崩して生活しているかのようだ。ブドウのように寿命の長い植物の栽培において、除草、表土の硬化と侵食の発生、輪作の欠如や過剰生産など、土壌の重要性を全く考慮しない実に長期的視点に欠けた農業を行ってきた。

特にヨーロッパ温帯域の歴史的に重要なブドウ栽培地域においては、砂漠化は有機物の継続的な消失をもたらす。今日このエリアのブドウ畑に含まれる有機物の割合は約1%であり、この先銘醸地に相応しい品質のブドウ栽培を続ける事が危ぶまれるレベルだ。この問題にはより危機感をもって対応しなければならない。なぜなら有機物の減少がもたらす悪影響は循環系の病気の多発や、成長障害、ブドウの質の低下と量の減少などからも明らかだからだ。

土壌とは本来永遠の若さを保つ生命体であり、適切な方法で土の生命力を大切に守り育まなければならない。

人間同様、土にも多くの酸素が必要だ。大部分を占める有酸素活動とわずかな無酸素活動のバランスのとれた調和が、微小な栄養素と水を媒介として生命活動の原動力となる。

そのために腐植土を無駄なく使うなど、自然な方法で土壌に活力を取り戻さなければならないのだが、残念ながら毎年90%以上もの有機物に相当する物質が無駄にされている。過去に有機物を浪費し地力を失った土地に多くの肥料や水、農薬などを使ったところで、そのコストに見合った効果はほとんど得られない。

土はそうやって本当に必要なものは有機物なのだと教えてくれているのだ。有機物の豊かな土壌こそ農業の土台であり、その土台があって初めて健全な農業が成り立つ。ブドウ栽培も含めた健全な農業とは、栽培に従事する農家だけではなく、周辺住民の健康も守られる中で汚染のない安全な作物が生産され、生物多様性(土中のバクテリアから酵母、菌根…植物から動物までのすべてのレベルでの食物連鎖)も保たれた状態をさす。ワインの価値もまさにこの点にある。

有機物を増やし土壌を育む方法とは、いったいどういったものか?

例えば、相互作用をもたらす作物を同時に栽培する事や、マルチング、緑肥の導入、土壌を切り定期的に酸素を入れ、土中の生命活動を活発に促すことなどが挙げられる。

最後の点については、撥土板のついたプラウで土を掘り返すのではないことに注意が必要だ。

伊語版

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