ブドウ栽培

水の流れを管理する

5 12月 2013

農業用灌漑や排水設備は古代イタリック人諸族により使われていたが、エトルリア人により主に水流のスピードと量を調整する改良が行われ、土地の侵食が抑えられるようになった。しかし丘陵地の侵食とは一定して進行するもので、毎年多くの河川域では10mmもの土壌が運び去られている。

イタリアの農家では数千年にもわたり、雨水が最大斜度に沿って速度を上げながら流れることによって起こる表土の流出を抑えるため農業水利設備を整えてきた。この壮大な事業はイタリア各地を形作り、類い稀な美しさを誇る農地の景観を生み出してきた。

丘陵地における畑の配置はトスカーナ出身のランデスキやリドルフィコジモ、その息子であるルイジなど専門的な見識を持った人々により研究がなされた。

彼らは丘陵地の生産性を保つためには、治水を行い土壌を守る事が重要であることを理解していた。1960年代以降の現代の機械化農業は、何代にもわたり農家が形作ってきた農地の形を消し去ってしまった。栽培効率を上げる代償として許される事ではなかったが、残念ながら実際に効率を上げる結果にもつながらなかった。

 植樹方法について、二つの重要な栽培地域であるピエモンテとトスカーナを例に比較してみたい。前者では主に等高線に沿って植樹されることが多く丸みを帯びた滑らかな景観を生み出す。一方後者では最大傾斜に沿って一直線に植樹が行われることが多い。高効率と高度な機械化農業の名の下に、斜面に沿って直線的に植樹されるため時には長い歴史を持ったテラス状の畑や、それを支える石垣もあっさりと取り壊され土壌の流出を許す結果となった。

最近行われているぶどう畑の植え替えに対して、かつてランデスキの鳴らした警鐘と教えは現代でも十分に通用するものであり、再考に値する。

いずれにせよ、栽培効率を追求するあまり地上と地下の水の流れが変わり、土壌が流出し土地の肥沃さが損なわれるという水文地質学的、そして環境的な問題をこれ以上放っておくことは許されない。長い歴史の中で壮大な農地の景観が築き上げられた地域において、これからのぶどう作りとは、持続性が十分考慮される栽培でなければならず、その土地独自のワインの味を守るのと同様に、雨水を適切に管理し土壌資源を守るという先人から受け継がれてきた貴重な知恵を活かしたものでなければならない。

 

伊語版

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